2039年 ドラフト評価 秋田オリオンズ
高評価ポイント
最重要課題であったリリーフの補強。1位で社会人ナンバーワンのリリーフ投手である荻島剛至(樋本生命)を競合せずに、大学生ナンバーワンの溝渕和也(光尾商業大学)を獲得したのはナイス判断だ。2位でもぶれずに社会人屈指のリリーフ投手江川尚史(NS西日本)を獲得でき、これ以上ない完璧な指名だったと言える。他にも2番手捕手、次世代のエース候補、一芸に秀でた選手など、リーグ優勝、日本一を本気で狙いに行ける布陣を整えることに成功した。今年はまぐれではなく、確実にペナントを制したい。
批判ポイント
基本的に批判するような点が無い完璧なドラフト。粗探しをするのであれば、野球センスのあるユーティリティーな内野手をまだ増やすのかといったところ。すでに飽和状態が否めないチーム状況でなぜまた似たような選手を増やすのか。正直それくらいで、1年間通して優勝を狙えるよう隙を埋めることができて上出来なドラフト。あとは構想通りチームが、選手が機能するかどうかだ。
即戦力
1位の溝渕は、今年の大学生では完成度ナンバーワンの投手。西國高時代は浅野大浅野の山村浩司(現新潟ブレイバーズ)と愛知県予選で投げ合うも敗戦。大学進学後に切れ味抜群のスライダーと胸元をえぐるシュートを磨き上げた。自信のある球種が2つあることで、ピンチの場面でも堂々と自分の投球ができた。先発飽和のチーム状況から、しばらくはリリーフでの起用が期待される。2位の江川は、社会人屈指の球威を誇るリリーフエース候補。黒川学院大時代から注目されていたが、屈辱の指名漏れ。社会人野球に進んでからはより強く球を投げることを意識したトレーニングで1年目からチームの9回を守り切った。昨年リリーフの層が薄かったためにクライマックスシリーズで戦えなかったオリオンズのリリーフ強化に貢献したい。3位の立花泰弘(トヨモト自動車)は、社会人の名門野球部でマスクをかぶり続けたエリートキャッチャー。的確なリードと、安定のキャッチングでピッチャーの良い部分を十二分に引き出した。正捕手の固定に苦しみ、今もなお2番手捕手が不在のオリオンズ。いつでも対応できるようなサブキャッチャーとしての仕事が期待される。5位の仙波雅幸(JEP東日本)は、器用なバッティングと堅実な守備でチームを陰ながら支えるスーパーサブ。状況に応じたバッティングでチームのチャンスを演出し、守備では内野ならどこでもこなすユーティリティーさでチームの緊急事態にも即時対応できる。便利屋さんとしてチームを支えたい。8位の池村栄二(原塚学院大学)は、身体能力が高い外野手。当たった時の飛距離が凄まじいパワーと、スタートが遅れても盗塁を決める圧倒的な脚力がある。しかし技術はまだまだで、打撃は三振かホームランかといった状態。ポテンシャルは抜群なので、代走や守備固めで起用して、バッティングを向上させてレギュラーを狙いたい。
将来有望
4位の藤原裕一(土佐学園高校)は、長打力がありながら他の能力も高水準なエリート選手。4番打者がおろそかにしがちな小技もしっかりこなし、守備もショートをそつなくこなす。足はお世辞にも早いとは言えないが、毎回全力で走る様は好感が持てる。プロではサードや外野手での起用が予定されているが、藤原の真摯に野球に取り組む姿勢があれば大丈夫だろうと安心できる。6位の東野俊朗(至盛堂高)は、今の時点でもかなり完成度が高い次世代エース候補。投球フォームの完成度がえげつなく、若栄監督が「いじる必要が無い」と発言するほど。ストレートの球威も高校生離れしており、変化球もハイレベル。まずは1年間通して投げ切れる体力を手に入れたい。7位の清家隆寛(栄志大学)は、野球センス抜群の大型内野手。チームではショートとして守備でチームの危機を何度も救い、チャンスでタイムリーヒットが打てる勝負強さもある。しかしそれは大学生までの話。プロの世界で通用するか見守りたい1年だ。9位の米道紘貴(霧和大学)は、魔球シンカーが武器の技巧派投手。常時140キロを超える直球を投げる点は速球派と評されそうだが、その直球を頼りにしないところが技巧派と言われるゆえんだ。チームではエースとして長いイニングを投げるが、5回から精彩を欠く様子が見られる。プロでは先発よりもリリーフとして起用されそうだ。
2039年ドラフト評価 兵庫エレファンツ
高評価ポイント
指名した選手のポジションは投手が1人、野手が6人とかなり偏重なドラフトになった。その中でも若い外野手を獲得できたのは大きい。平均年齢が30歳を突破する勢いのエレファンツ外野陣に加わることで、スムーズな世代交代が叶いそうだ。また内野手もバラエティに富んだ野手を立て続けに指名したことで、レギュラー陣が疲れなどで離脱してもカバーできる万全な状態となった。抽選で所行雄(華鼓嶋実業高)は外してしまったが、高校BIG3の中でもヒットへの執念が強い前栄平英吉(我如古高)を獲得できた。この時点で今年のエレファンツのドラフトは成功と言ってもよい。見事なドラフトだった。
批判ポイント
野手が欲しいという強い想いが感じ取られたがゆえに、やはり投手がおざなりになった感じは否めない。唯一指名した新穂佑亮(西都大学)はもちろんU-22にも選出され実績のある投手だ。しかし他にも有望な選手が残っていた事実を見て思うのは、もっと投手を補強してもよかったのではないかということ。野手への危機感が強すぎて、投手陣が同じメンバーばかりが登板過多になっている状況が見られていない。昨年から9回を任せられている川峰は1年目から先発に中継ぎにフル回転。今年8年目のシーズンを迎えるが、いつプツンといってもおかしくない状況だ。通算登板数300試合を超えた鉄腕に代われる選手はまだ出てきていない。もっと投手を指名してもよかった気がする。
即戦力
2位の松永誠(木山教育大)は、U-22でも主軸を任されたスイッチヒッター。高校時代は東京都予選で瀬田実業高のエース菱川仁(現東京スピリッツ)に手も足も出ず完敗。その時の悔しさを糧に大学では打撃を磨き上げて大きく成長。得点圏での打率はリーグ戦で常時4割を超える。チャンスの場面での頼もしさは東京六大学屈指。雄堂大三高時代は捕手で大学から外野にコンバートしたため、動きに不安は見られるものの肩の強さでカバーできている。類い稀なバットコントロールと長打力で1年目からレギュラーを狙う。4位の澄川詩音(樋本生命)は、守備面において抜群の安定感を誇る守備職人。捕球してから送球するまでの動きが滑らかで美しい。打っては逆方向でも関係なく強く打ち返すことができる。1軍に常駐させておきたい選手だ。6位の新穂は福岡六大学では敵なしの本格派右腕。187cmの長身から繰り出される直球は切れ味抜群で、数々の強打者が苦戦した。9回まで投げ切るタフな点も魅力の1つ。先発の一角として早い段階から先発ローテを狙いたい。7位の浅沼俊樹(星蔭大学)は俊足巧打のセカンド。打席ではじっくりと球を見定めることができ、相手のイライラを掻き立てる嫌な打撃をする。守っては広い守備範囲と確実なスローイングで安心して見ていられる堅実な選手。まずは守備固めとして1軍に定着したい。
将来有望
1位の前栄平は、2年前からプロ入りが期待されてきた高校BIG3の一人。沖縄県内ではあまりのバッティングの恐ろしさに、まともに勝負されることが無かった。高校通算14本は、1年生夏の時に予選、甲子園で稼いだもの。1年秋からはまともに勝負されることは無くなった。圧倒的なパワーとバットコントロールでどんなボールも長打にする。チームではセンターを守っていたが、守備範囲が広かったり足が特別速いわけではない。肩は強いのでライトやレフトでの起用が予想される。勝負さえしてもらえばどんな相手でも安定して長打を打つのでその点においては非常にプロ向きである。3位の小楠純一(常稜高)は華のあるプレーで観客を魅了するスター候補。打っては勝負所で長打を打ち、守っては三遊間の深いところから一塁でアウトにする。どの場面を切り取っても画になる。北海道の雪が積もる道をひたすら走り続けたことで手に入れた足腰が華のあるプレーを実現させている。まずは体を大きくしてプロ標準の体格を手に入れたい。5位の柳町陽介(堀本高)は、投手から野手に転向した選手。高校時代は4番エースでチームを12年ぶりの甲子園へと導く。何と言っても191cmの長身が目立つ。長い腕からアウトコースの難しいボールも難なくヒットにすることができる。守備はまだ勉強する部分がたくさんあるが、最低限守れるようになれば、チームのヒットメーカーとしてチームの勝利に貢献したい。
2039年ドラフト評価 神奈川ホエールズ編
高評価ポイント
公言し、池澤寛志(西京ガス)の1本釣りに成功。早い段階からアプローチをかけ、思い通りの結果となった。その後もまだまだ足りない投手陣、野手陣まんべんなく指名し、満足のいく11名が獲得できた。先発中継ぎともに少ないチーム状況で小熊秀明(NS九州)のような先発中継ぎどちらにも転ずることができる投手を獲得できたのもよかった。膠着状態の正捕手争いに2名の若手が加入。バッテリー陣営を大きく入れ替えた印象を与えるドラフトとなった。
批判ポイント
外野手の補強が甘いように思えた。名前だけ見ればU-22でレギュラーだった羽深浩一(陸奥大)と、名門トヨモト自動車の杉岡寛治を獲得できてよかった。しかし羽深は国際試合で思うような打撃ができておらずチームに貢献したと言い切れない。杉岡は常星大時代から守備の能力は目も当てられない。杉岡は11位であることから獲得するか否か迷いが出ている。彼らを指名したことが高評価に値するようになってほしい。
即戦力
1位の池澤は今年の社会人野球が誇る絶対的なエース。大学時代はU-22に選ばれなかったものの、西京ガス入社から大きく成長。ストレートの球威が増し、いままでポテンヒットになってしまった打球を打ち取った打球に変えることができた。さらに縦に落ちるスライダーを社会人で覚えてから奪三振数も確実に増えた。社会人でもベストナインを受賞し実績は申し分なし。今年新人王を獲得することが義務とされる選手。3位の縣正憲(黒川学院大)は長打力もミート技術も高い大学野球界屈指のスラッガー。苦手なコース、変化球が見受けられず、他大学の視察部隊はお手上げ状態。アウトローのストレートも逆らわずにレフトスタンドに放り込む技術とパワーはプロ顔負け。ファーストの守備も軽快で、打撃偏重でないことも大きな魅力だ。多花をレフトで、平井純を指名打者で起用することでファーストが手薄なホエールズのチーム状況にぴったり。1年目からレギュラーを狙いたい。4位の植木広志(矢形重工福谷)は、1年目から1軍で活躍しつつも、まだ伸びしろも期待できる「準即戦力」といった位置づけ。高校時代からスローイングの速さ正確さが高く評価されていた。社会人に入ってからは勝負所で長打を放ってきた。高いリード技術を身に着けることができれば敵なし。7位の新志喬之(北芝)は150キロに迫るスピードボールと、ストレートと同じフォームで投げ込まれるカットボールで相手を打ち取るタイプの本格派右腕。目が慣れてくると打ち込まれる傾向があるのでプロでは中継ぎでの起用が見込まれている。10位の西山佳蹴(洋目製鋼)は、長打が打てるセカンド。また50メートルを5秒7で走る俊足も魅力。少々粗い守備が不安だが、即1軍で使いたい選手。11位の杉岡寛治は、打撃偏重の外野手。正直守備は見てられないレベルだが、ハマった時のバッティングは手が付けられない。追い込まれてからも自分のバッティングができる落ち着きがあり、コースいっぱいの変化球も打ち返すことができる技術がある。代打として名を上げることができるか。
将来有望
2位の村田泰弘(近西大)は、今年の大学野球を代表する本格派右腕。相手打者の腕を痺れさせるほどの重いストレートを武器に相手打者に本来のバッティングをさせなかった。高校時代からストレートに定評はあったものの、その良さが削がれるほどの荒れ球が問題だった。大学進学後はその荒れ球が打ちにくさに変わり一気にドラフト候補に。ホエールズは若手にもチャンスがあるチーム。早い段階から1軍で経験を重ねて球界を代表するエースに成長してほしい。5位の羽深は攻守ともにハイレベルな外野手。国際試合では思うような打撃ができなかったものの、仙台六大学リーグでは陸奥福祉大の寺尾から唯一ホームランを打った選手でもある。ストレート、変化球関係なく打ち返し、合わない投手相手で最低限右打ちや犠牲フライを打てる選手である。国際試合の悔しさを糧にプロで活躍したい。6位の青砥聡(京洛翔栄高)は野球センス抜群の内野手。高校時代は4番でエース。投手時代は140キロ前半の速球と相手の胸元に迫るシュートを武器に注目を集めていたが、器用なバッティングと身体能力が買われて内野手としてプロ入りすることに。まだまだ未知数の選手だが、内野手の層が薄い今のうちに1軍出場を果たしたい。8位の菊田昌宏(帯館農業大)はバランス型の捕手。肩の強さは特筆するものではないが、盗塁阻止率は高い。取ってから投げるまでの動作が異常に早く、スローイングも正確。どちらかと言えば守備型だが、逆方向へ打球を流して丁度良く落とす打撃技術がある。9位の小熊秀明(NS九州)は小柄ながら力強いボールを投げる本格派右腕。高校時代名門安武高校を下して学校初の甲子園進出に大きく貢献。社会人野球に進出すると、チームではエースとして三振の山を築き、都市対抗では矢形重工福谷の強化選手としてチームの8回を任された。まだまだ22歳と若いので長い活躍を期待する。