2039年ドラフト評価 福岡フェザーズ編
高評価ポイント
なんといっても所行雄(華鼓嶋実業高)を獲得できたことが大きい。競合したら圧倒的な引きの強さを誇るフェザーズ。かつて日本を代表するスラッガーだった立松監督が当たりくじを引き寄せたのもどこか運命めいたものを感じる。全体では投手3名、野手6名と野手重視の傾向だが、高校生、大学生、社会人をまんべんなく指名しており年齢層に偏りは見られない。先発ローテの中心が軒並み30代を超えているタイミングで将来有望な選手を獲得できた。野手でも若い選手を獲得しており、未来を見据えた。
批判ポイント
今回指名した社会人選手は2人ともリリーフとして起用が予定されている投手。フェザーズのリリーフ陣の平均が27歳で、ほとんど同い年の選手で固めてしまっておりもっと若いリリーフ適正のある投手を指名してもよかったのではないかと思う。また内野手では同じタイプの選手が数人いるなかで、また同じタイプを指名している。今度こそはうまくいくと思っているのか知らないが、成功していないのだから新しいタイプの選手を獲得する方が良いと思ってしまう。
即戦力
3位の涌井篤(瀬田大)は決まらない外野手のレギュラーに参入できる完成度の高い左打者。打撃ではシュアで勝負強く、守りは堅実で安心感がある。早い段階から1軍で活躍できる能力を持っている。4位の宮本智哉(東海堂大)は複数ポジションを守ることができるユーティリティーな内野手。一発放り込める長打力は無いものの、外野手の前に落とす絶妙なバットコントロールを持っている。6位の葛原拓実(大戸製紙)は、長身から角度のあるストレートを投げ込むオーバースローの右腕。決め球の大きなカーブは捉えるのが困難。7位の谷崎崇嗣(真部大)は、強肩強打の外野手。数々のタッチアップを阻止してきた正確なスローイングはプロでも通用する。しかし守備固めに留まらない力強い打撃も魅力。ここぞという場面で長打を放てる即戦力候補。9位の光平政一(JEP西日本)は変則的なサイドスロー右腕。左打者に襲い掛かってくるスライダーは容易に打てるものではない。試合の流れを変えたい場面で登板させたい。
将来有望
1位の所は説明不要の超大型スラッガー。通算83本塁打は伊達じゃない。打撃に関してはもうすでに1軍でも勝負できるが、まずは2軍を主戦場にして3年目辺りから4番で起用したい。今年多笠原から月永を獲得し、彦田、矢田昌樹など期待されているスラッガーは多いが、彼らの奮起を促す存在となりそうだ。2位の相川達也(高伊勢学園高)は内蔵しているエンジンが大きいポテンシャル抜群の右腕。高校3年間を通して甲子園出場は果たせなかったが、空振りを奪える強いストレートと、手元で鋭く曲がりバットの芯を外すカットボールで相手を打ち取る。将来先発ローテに食い込む選手に成長したい。5位の太田英孝(筑紫北高)は1年生の頃から甲子園を経験したスラッガー。課題となっているサードのレギュラー、若い長距離砲を両方解決する選手としておおきな期待が寄せられる。8位の漆館哲夫(西都大学)は広い守備範囲と50秒を5秒9で走る脚力が魅力の守備固め候補。プロで勝負できる打撃力を身に着けてレギュラーを勝ち取りたい。
2039年ドラフト評価 北海道レンジャーズ編
高評価ポイント
2年連続で一本釣り。池宮健(雄堂大三高)と東浦修(阪谷工業高)の2名を獲得できたのは大きい。これまでレンジャーズは高卒投手の育成が上手くいっていないが、今回のこの指名は将来のエース候補を育てようとする気合いと覚悟を感じる。また即戦力の外野手を獲得できたのも大きい。レギュラーは固定されているものの層の薄さが課題だった外野手に、社会人野球の日本代表でクリーンアップを務めた2人を獲得することで層の薄さを解決できそうだ。しっかりと埋めるべき穴を埋めて、未来も考えられた点は高評価に値するだろう。
批判ポイント
地元志向はいいことだが、9位から11位の3人は地元の大学生だから獲得した感じが否めない。外野手が育成できなかった末路が現在の層の薄さにつながっている。外野手の獲得は日本代表の2人だけで止めても良かったのではないかと疑問が残る。また、より下の順位でも獲得できたのではと思う選手が何人かいる。たまに順位不相応と思える選手がいるが、それは球団がどうしてもほしいピースである場合であって納得できるものが多い。その点今回のレンジャーズのドラフトにはどうしてもこの順位で欲しかったのか?と思ってしまう選手が1人2人ではない。どんな意図があっての獲得だったのか理解しがたいドラフトでもあった。
即戦力
2位の浅見幸一郎(矢形重工福谷)は今年の社会人野球を代表するリーディングヒッター。華鼓嶋実業高時代はとにかく打って走る雑な選手だったが、矢形重工福谷の野球部で1つ1つの動きが洗練された。必要な場面で結果を残す様は仕事人。高い運動能力を過不足なく発揮できているレギュラー候補の選手。4位の臼杵正広(小平大)は最速152キロのストレートが魅力。低めに球を集めることができるコントロールの良さは優秀だが、ストレートに目が慣れてくると途端に打ち込まれる傾向がある。短いイニングを投げるリリーフに適正があるように思える。7位の瓶内正茂(桑島大)は総合力の高い万能型のキャッチャー。どの能力も平均以上にできる選手なので、1軍に食い込むためにずば抜けた要素が1つほしい。府川孝弘(サクラグレイス)は大学時代から注目されていた本格派右腕。150キロに迫るストレートと縦に落ちるカーブで空振りを奪うスタイルで社会人日本代表でも活躍。8位まで残っていたことが不思議なくらいの完成度で先発ローテ候補。
将来有望
1位の池宮は最速151キロのストレートで打者を黙らせる本格派左腕。体の線が細く、今にも折れてしまいそうな印象を与えるが、力強いスピードボールを放ることができるのは、毎日欠かせない体幹トレーニングのおかげだろう。春夏共に甲子園出場、U-18では背番号1を背負い活躍するなど大舞台でもいつも通り投げられる。今年1年は体づくりに専念して手薄な先発左腕に加わりたい。3位の東浦は夏の予選で名門・真田寺高校を相手に堂々のピッチングを披露したことで一気に注目を集めた。スピードガン以上に速度を感じるストレートとキレのあるスライダーで三振の山を築く。またピンチに動じることなく自分の投球ができるメンタルの強さがあり、将来2ケタ勝利のできるチームの主力になる未来を描きたくなる選手。6位の畠本哲博(陸岩工業大)は運動神経抜群の内野手。大学時代は主にショートを守る選手だったが、レンジャーズはセカンドを守る選手が不足しているため、プロではセカンドが主戦場となりそうだ。9位の中尾崇行(帯館農業大)は角度のあるボールを放るサウスポー。特にスラーブが左打者に有効で、ここぞという場面で登板する姿が想像しやすい。10位の天野悠人(蝦夷教育大)は、勝負強い打撃が魅力だった大型外野手。3年生時からチームでは4番を務め、チームを勝利に導いた。11位の滝本正博(帯館農業大)は一発当たった時の破壊力が魅力の外野手。まずは2軍で自慢の長打をアピールしたい。
2039年ドラフト評価山梨大和ハウスシャークス編
高評価ポイント
欲しい選手が獲得できた印象。所行雄(華鼓嶋実業高)を外した後、引きずることなくアマチュア選手としては最速の156キロを投げる高畑蒼甫(文久大)を獲得できた。4年連続で1巡目を外しているだけに切り替えの早さを見せつけた。その後も即戦力かつ伸びしろのある大学生を立て続けに指名。リリーフを中心に投手層を厚くすることができた。また岡崎が抜けた後の課題であった長距離の打てる選手も獲得に成功。最低限欲しかった穴埋めに成功できた印象である。
批判ポイント
もう少し長距離砲にこだわって良かった気もする。またチームの絶対的なリードオフマンである陽野の代わりを獲得しなかったのも疑問だ。他にもレギュラーは固定されているものの控えの層が薄いことが課題である割に野手の獲得が少なかった。欲しい選手が残っていなかったと言えばそれまでだが、もっと早い段階で優秀な野手を獲得する手もあったと考える。現戦力の底上げで順位を上げるつもりなのか。それでも昨年5位のチーム戦力に打線の大黒柱を欠いた状態でAクラスに戻れるのか。
即戦力
1位の高畑は文久大のエースとして東京六大学リーグで快投。アマ最速の156キロを主軸に打者の手元で鋭く、大きく落ちるフォークはわかっていても打てない。大学時代は先発メインで登板していたが、今年いっぱいで引退した佐々中和博のような不動の守護神になることを期待されている。2位の寺尾裕実(陸奥福祉大)は身長173㎝とプロでは小柄でありながらもインハイで空振りを奪える強気な姿勢と、四隅に投げ分ける正確なコントロールを持ち合わせる大学ナンバーワン左腕。先発に右投手が多いことから先発投手としての起用が予想される。5位の高瀬慎吾(瀬田大)は多才な変化球を投げ分ける技巧派右腕。力任せに投げていた高校時代と打って変わって大学では丁寧な投球で失点や四球がぐっと減った。先発ローテの谷間での登板や、リリーフとしての起用など便利屋のような立ち回りが期待される。
将来有望
3位の郡山諒平(悠玄館高)は投手としても打者としても期待される二刀流。投げては力のこもったストレートにキレ味鋭いスライダーを駆使する投球スタイルで3年生時夏の甲子園を制する。打ってはストレート変化球関係なく打ち返す中距離打者。相手の失投も逃さず捉えてスタンドに運ぶだけの長打力、相手の隙をついて次の塁を狙う走塁意識の高さもうかがえ、投手野手どちらとしても起用したいのが本音である。4位の坂田豪(北川大)は大学野球選手権で優勝したチームの4番打者。三振が多いのは見逃せないが、当たった時の飛距離は圧倒的。外野守備も取り立ててうまいわけではないので、今後は指名打者やファーストへの転向が予想される。バッティングのフォームはメジャー移籍した岡崎健太を彷彿とさせる。
2039年ドラフト評価新潟ブレイバーズ編
高評価ポイント
何と言っても西沢智樹(瀬田大)を獲得できた。球界の宝として、チームの大黒柱として各方面から大きな期待を寄せられることは容易に想像できる。このシーズンをどう過ごせるかが課題になるだろう。また課題であった不安定な二遊間の補強を、蓑和田大規(伸邦大)の獲得というこれ以上ない形で実現。さらに長打の打てる選手も獲得できてこれ以上ない結果となった。今年すぐに優勝とはいかないものの、未来の黄金期が見えてくるドラフトだった。
批判ポイント
正直8位以降は惰性だったのではないかと思われてもおかしくない指名になった。いづれの選手もチームの中心選手ではあるものの、プロ野球選手として活躍するには物足りない印象を与える。指名した投手も似たような選手がいて、どうしても獲得したいのかどうか。ただの人数合わせにするならば、未知数の外国人を加入させたほうが合理的だろう。指名された選手にもかわいそうな結果になりそうだ。
即戦力
1位の西沢は1年生から名門瀬田大で4番を務めただけあって、打力や度胸は1軍レベル。物怖じしない姿勢はプロでも通用するだろう。2位の蓑和田は常人離れした圧倒的な守備範囲の広さがウリ。パンチ力もあり攻撃的な2番打者として起用できる未来が見える。4位の篠宮孝介(樋本生命)は巧みなバットコントロールで代打要因としての活躍が期待できる。5位の松井勇司は全身を使ってダイナミックなストレートを投げる剛腕。リリーフの一角として君臨したい。
将来有望
3位の原染五郎(桃山大)は東北学園高時代からあり余る長打力に注目されてきたスラッガー。しかし課題のミート技術はまだ発展途上。せめてチャンスの時に大きい一発を放てるようになりたい。7位の滝田大輔(阪谷工業高)は軽いフットワークに思い切りのいい打撃でチームに勢いをもたらす元気印。あの超名門真田寺高校を下して甲子園出場を決めたバッティングで新潟の黄金期を作る。10位の冨澤義隆(鷲尾大)は三振かホームランかといったフルスイングおばけ。守備と走塁は一切捨てて長打力一本で勝負する潔さがプロで通用するかどうか。